桃ではなく、桜でもなく。

 

二月の終りに河津桜を観に行った。
この色は、いわゆる桜色とされるソメイヨシノの色でなく、
桃の花を思わせる「桃染(ももぞめ)」色にあたると思う。
桃ではないのだけれど、一番ぴたりとくる色だった。
桃色は古来からお祝いごとに重用されてきた色。
春の嬉しい季節によく似合うのは、そのせいかな。

今年の河津桜は、満開の頃が早くて、
この日は花の盛りの終わってしまった桜並木を歩くことになり、
がっかり…。
でも、並木道を一段下がった高架下の
日当りのよくないところに、
まだ咲いたばかり、生まれたばかりの、
生き生きとした花を発見。
少し暗いところにありながら、
ぐっと枝をのばし、しっかりと咲いていた。
誰に言われなくても、自分の意思で咲く。
咲いてみせる。そんな力強さ。

誰かに教えられなくても、急かされなくても、
自分の使命を、約束を、意思的に果たす。
そう決めて咲く。

ふりかえって、自分のことを思うと、
咲くべきときを知り、
その時に咲くことができるよう努力してきたかな…
と思うとなんとも心もとなく、
少し恥ずかしい想い…。

やさしい桃染め色の河津桜に励まされ、背中を押され、
やっとやっと、このサイトを公開することに決めた。

たくさん撮って、和の色のカードをあれやこれやと見つめて
季節のうつろう美しさ、日本語の味わいや愉しさを

つづっていけたらいいな、と願いもこめて。

はじまりは、白。

白。

和の色(日本の伝統色)の中には、胡分(こふん)、鉛白(えんぱく)、
卯の花色…と、白にもさまざまな色と名前がある。
しかし、いわゆる「真っ白」な色に与えられている名前は、
シンプルに「白」なのだ。
それは迷いも、にごりもない、まっさらの色。

この花の色は、その名にふさわしい、きっぱりとした無垢な「白」。
はじまりは、ここから。